いまさらながらに「愛あらばIT’S ALL RIGHT」

いまさらながら、「愛あらばIT' ALL RIGHT」ネタですが、ホント、聞き込めば聞き込むほどに 味わいの出る佳曲です。娘。のシングルって、たとえば、「シャボン玉」とか、「GO GIRL」とか、 過激さや奇抜さが麻薬のようになっているので、この曲のあまりの正統的な調子に最初は 暖簾に腕押しのような感覚さえ抱いていて、「これはひょっとして、娘。史上最低の作品に なるのではないか」と本気で思ったものでした。最初の印象は当てにならない、という事実を ずっと体験してきたにもかかわらず、そう思ってしまったわけです。


ところがどっこい、するめのように味が染み出てくるの何の・・・・・。何のギミックも用意されて いない、その真正面から攻めてくる作品は、卒業する大黒柱のなっちに対する敬意の表れ である、との論評もさもありなんと感じたものです。改めてつんくメロディの奥の深さに、 感服するとともに、いつもと同様彼のマジックに捕らわれてしまったか、と言う気分です。


ダンスは、「お遊戯のような」と、好意的にですが某所で評されましたが、これもなかなかに 奥が深くて、大人数だからこその構成となっています。つまり、微妙なメンバー毎の振り付けの 違い、たとえば、太陽を指差すタイミングをわざとずらしていたりとか、恒例の阿波踊り風の 振りが入っていたりとか、もう盛りだくさんで、楽曲同様、細部にわたって緻密に練り上げられた その芸術性に舌を巻くより他ありません。


そして、最後まで私の前に立ちはだかった、そのあまりにストレートで、恥ずかしいくらいの 一直線の歌詞・・・・・。それまで、普遍的な愛を歌うにも、どちらかというと歌詞そのものは、 少しオブラートに包んだような、一見はさりげない、何気ない装いで表されていて、むしろどちらかと言うと 言葉足らず、のところがかえってすごく良かった(恋レボの「紙コップでいいじゃん」など)と思うの ですが、今回は違った。「感謝がみなぎる」とか、「本当にすごくなろう」とか、 あまりにも直截的過ぎる表現方法と多少の価値観の押し付けがましさにすごく戸惑いがありました。恋レボの「紙コップで いいじゃん」の前後が、「余計な飾りは不要だよ」とはっきり歌われているような感覚、と言っていいでしょうか、なかなか自分の中で受け付けないところが ありました。結果はと言うと、もうこれは慣れが解決したと言うか、その正統的な曲調と同様、 あえてストレートな歌詞こそ見事に曲にはまっているのだと今では感じています。


「愛あらば」、ひょっとしたら「恋レボ」、「ここにいるぜぇ!」に並んで、私の中のベスト3に 今後並び入るかもしれません・・・・。昔の名曲を上回る楽曲がどんどん提供される娘。 ワールド、本当にすばらしいとしか言いようがありません。