リボンの騎士/初日(8/1)

2006年 8月 3日(木)  リボンの騎士/初日(8/1)


3月から4ヶ月間の特訓に裏付けられた「今までとは違う舞台」を、
しっかりと感じることのできるミュージカルでした。


やはり一番大きいのは、歌のスケールの大きさ。
腹の底から目一杯声を出し、しかもかなり長尺の歌を心行くまで聞かせてくれる。
今までのミュージカルの歌の短さにがっかりしていた自分にとって、
もうこれだけでも十分でしょう。


ストーリーは有名な漫画の傑作を基礎にしているわけだから、
当然「破綻」もないし、演技力にかけては元から実力もある皆なので、劇自体もスムーズに展開。
その上、予想以上に原作を活かしていたし、十二分に満足だ。


完成度が高いがゆえに気になる点を2点だけ言えば、
後半の展開がはしょりすぎたところと、
愛ちゃんはまだまだもてる実力を十二分に出し切れていない、ところか。


逆に言えばこれから公演が回を重ねるごとに、
前者については違和感は徐々に薄れていくだろうし、
後者については、当然のことながら、歌、台詞回し、男と女の演技分け、
すべてがずっとずっとよくなっていくことは間違いない。
だから、これから何度も赴く舞台が楽しみになるのだ。


その他、細かい点を言うなら、予想外に台本に客の笑いを取る目的の台詞が用意されていて、
あの厳しい演出家が?と思わせるくらい、客も演者もリラックスした雰囲気になれた。


次に個別メンバー評をすると、


愛ちゃんの歌はもちろん絶品だ。
もう愛ちゃんの歌を存分に楽しめる、それだけでもう十分なのだ。
一部声が続かなかった部分もあったが、それは裏返して言えば、喉だけで唄わず、
腹の底から目一杯歌っていることの証。


台詞はやや愛ちゃんの癖の早口が出て聞き取りにくいところが一場面あったのと、
「は(ha)」が「あ(a)」になる部分も2箇所あった。
初日は緊張感もあったことだろう。余裕が出すぎてもいけないけど、
これからどんどんよくなっていくことが楽しみだ。


特にラスト、一旦死んで、その後本物の女性として生き返る場面、
ちょっと自分自身の中で記憶が飛んでいるところもあり、
これからじっくりと堪能していきたい。


よっすぃは、風格と言うか、威厳と言うか、そんな存在感が抜群で、
もう何も文句はなし。声のとおりもいいし、歌にも深みがあって素晴らしい。
彼女こそまさに「宝塚」だった。


まこっちゃんは、台詞や登場場面は多いもののいまひとつ重みのない役のため、
ちょっと損な役回りだったかも。


垣さんと6期3人は、前半は「賑やかし」要員なのだが、
後半、垣さんと亀ちゃんがフランツ王子配下の騎士で、颯爽と登場し、
重厚なソロもあり、得な役回り。
特に「フランツ王子には亀ちゃんを!」と言う思い入れがあったので、
亀ちゃんの凛々しい姿を目にして、やはり自分の目は間違っていなかったと確信した。


れいなとさゆは、後半は王子の嫁さんスカウト役(男性)も、ちょっとコミカルな役。
れいなは、コミカルな歌のため、唄い方もいつもの節回しのままで、
持ち前の実力を発揮するには、役不足(ここでは正しい意味で)の感じ。
しかしまさか福岡弁が仕組まれているとは思わなかったので、大いに笑わせてもらった。


さゆと言う子は、一昔前の衣装や髪型、化粧をすると素晴らしいほどに映える。
古風で日本的なのか、逆にずっとずっと西洋風なのか?
故に、前半の淑女役のあまりの美しさと言ったら・・・・・・・・・・・、もうダントツの域でした。
もっと近くで見たい、写真が欲しい!!


春ちゃんはヲタ受けするおいしい役。前半はちょっと頭の弱そうな、愉快な子(大臣の息子)。
想像通りのはまり役であった上に、過剰ともいえるサービスで会場を一気に引き込んだ。
一方後半王子になってからは、頭の回転がいつの間にか早くなっていて、
これがまた多分「本当の」小春ちゃんに合っていて、良い。


とにかく華がある。やはりミラクルなんだな、この子は、と思わせるのがすごい。
出てくるだけで、オーラと言う重厚な種類のものではなくて、
なんだか彼女のところが光り輝いていると言うか、パッとそこに目がひきつけられる感覚。
ちょっと最近、「推して」いるので贔屓目もあるかもしれないけど、やはり逸材であるのに間違いはない。


愛ちゃんよりも歌の多かった(笑)梨華ちゃん
特に前半、梨華ちゃんばっかり歌うので、「あれ?愛ちゃん主役じゃないの?」
と思うくらいの大活躍。
しかし、その野太い歌声はどう考えても梨華ちゃんの声とは思えない重厚な響き。
声量もあったし、歌ははっきりと合格点。「梨華ちゃんであるゆえに」、聞くほうが緊張仕切ってしまって、
ある意味素直に楽しめなかった面はあるけど、これからはもっとゆったりと楽しめるだろう。
レポによると、二日目はもっと歌がよかったらしい。
後、演技は完璧。正直、歌を除けばルックス、たたずまい、すべてが、あやや、なっちより
フランツ王子に適役。いやひょっとしたら、「宝塚風」を考えれば歌だって、
あやややなっちより、この舞台にはまっているかもしれない。
意外になっち、あややはいつもの唄い方だったりして。それは、実際に舞台を見て評価しよう。


いよいよ、最後に、美貴ちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いやはや、もう水爆級の凄さだった。その存在感、舞台を一気に自分のものにする魔力。


まず、当たり前だけど、彼女の風貌はやはり魔女にぴったりだった。
(原作のヘケートはもっと可愛らしい魔女なんですけどね)
特に初登場の場面は階段の最上部が盛り上がり、一回転して扉が開き、
そこからヘケート大登場なのだが、


「待ってました〜!!大統領!!!!」


って感じで、まさに圧巻の一言。「おどろおどろしかった」なぁ・・・・・・。
この場面を含めて、一段高いところから出演者を見下ろす場面が多いのだが、
その美貌から発せられる、例の視線の鋭さといったらもう鳥肌物。
いつの間にか王様の椅子に座って、全員を操っているかのような場面は本当に「怖い・・・・」


そして歌はもちろん、声量、情緒とも完璧。
愛ちゃんが期待通りなら、美貴ちゃんは期待以上の素晴らしさで、ボイトレの効果が出ている感じ。
演技も、「魔女の『アハッハッハッハ』の高笑い」がドンピシャ。
後半、サファイヤに同情して、女性の魂を返してあげるまでの感情の移り変わりも、
見事に表現している。
ただ、いかんせん、台本上の時間が短くてそこらへんの感情の移り変わりが早急な感じ。
これは美貴ちゃんのせいではなくて、台本のせいであり、
だからこそ、最初の「はしょりすぎ」の感想が出てくるのだ。
それにしても、短い出演で存在感をしっかり出しているのはさすがだが、
それゆえにもう少し見せ場が欲しかった。
「美貴ちゃんの性格では、長丁場ではメンタルが持続しない」と言ういかにも風な意見が2chにあったが、
これは果たして本当だろうか????


さて、ラストのミニライブはどうだろうか(レビューと言うのでしょうか?)・・・・・・
一言で言うと中途半端。
ラブマ、Ambitiousは踊るでもなく、宝塚風に両手に扇を持ってひらひらさせながら階段でただ唄う。
時々、脚を伸ばしたりするが、あれが宝塚風なのか?


これなら持ち歌ではなく、他の歌の方が良かった気もしないではない。
客も盛り上がればいいのか、じっくり聞けばいいのか判断に迷う感じ。
一応スタンディングしたものの、ノれないものだから・・・・・。


これは某板の受け売りですが、「脚本家が、主役がアイドルであることから逃げなかった」と
評価する向きもあり、ここはやはり持ち歌で、かつ宝塚風に、と言う挑戦でしょう。
いや、こういう強引な展開こそ宝塚だから、と言う意見もあり、
そうなら、なるほどな、とこれから素直に楽しめることと思う。
むしろいつの間にかあのへんてこりんな空気が快感に変わっているかも・・・・・


あと、スタンディングについては、「ラブマ」が突然流れてきたら、条件反射的に立ってしまうでしょう。
まず第一に開演前のよっすぃの注意は、正直意味が分からなかった。
「第二幕のフィナーレ」と言われても、どこがどこまでなのか分からない。
とにかく、あののりなら残り(最低)9回(笑)、座ってもいいし立ってゆっくりと体を動かしていてもいい。
周りの雰囲気に合わせます。


と言うことで、期待通りで、今後の期待がさらに高まるリボンの騎士
いい夏が今年も過ごせそうです。


辻ちゃん、なっち、あややも楽しみですね。
加護ちゃんも出るはずだったんだなぁ・・・・としみじみ。みんな加護ちゃん忘れないでね)